分析化学の立場から新薬の品質を作り込む

品質開発研究

治験薬の品質に携わる重要な役割

研究開発本部 CMC研究所の品質開発研究室は、既に臨床試験が開始されている治験薬の分析法開発と品質管理が主な仕事です。実際に患者さんに投与されている薬が研究対象なので、強い責任と使命感をもって業務に臨んでいます。

各部署と連携しながら治験薬の分析法を構築

私は現在、治験薬の品質試験や特性解析に用いる分析法の構築と、そのバリデーション(=性能・適格性の検証)を主に担当しています。一部の試験については薬が市販された後も工場で実施されるため、精確なことはもちろん、簡便さやコストも考慮した分析法の設計・改良を行うよう心がけています。それには分析法の十分な理解だけでなく、統計学や医薬品の法規制などに対する知識も必要になるため、関連書物を読み込んだり外部セミナーに参加したりするなどの下準備が欠かせません。
入社1年目の秋に、初めて新規分析法構築の主担当になりました。配属間もない私にとっては大変な仕事でしたが、分析法の原理から応用まで様々な文献にあたり、さらに経験豊富な上司や部署内外の先輩らに意見を求めながら、2カ月という期限内で満足のいく分析法を作り上げることができました。この業務を通じて、単に知識や技術を身に付けただけでなく、今後大いに役立つであろう他部署との関係性も築くことができ、とても良い経験になりました。部署を超えた意見交換が活発に行われている点も当社の特徴です。

より高品質な医薬品を開発するために

近年の医薬品開発では、従来の最終製品試験を中心とした品質管理・保証ではなく、科学的な見地から「高い有効性・安全性を確保するために達成されるべき品質」を目標として設定し、それに合わせて製造工程を作り込んでいく、すなわち品質を“設計”することが求められるようになってきました。こうした「Quality by Design」と呼ばれる考え方は、単に製品試験の省力化やコスト削減にとどまらず、高品質な医薬品の安定供給にもつながるため、患者さんにも大きな利益をもたらします。
私は分析化学研究者として、完成した製品を分析するだけでなく、より上流の製品設計の段階にも「品質」の視点から関わることで、さらに高品質な医薬品の開発に貢献したいと考えています。
そのためには、現在行っている分析のほか、製造工程や化合物そのものの特性、さらには薬効薬理に関する部分まで、多くの知識と経験が必要になります。そして、こうした広く深い知識と経験を積み上げられるのが、生化学工業という会社の研究職であると思います。

先週末にセットしておいた実験の結果を解析し、上司や同僚とディスカッションを行う。その後、1週間の実験計画を作成。

今週の実験を開始。並行して、月曜にまとめた結果を元に報告書を作成する。

1日中みっちり実験を行う。

外部セミナーに参加。医薬品分析や国内外の法規制に関する最新事情を学ぶ。

部署の全体ミーティングで次週のスケジュールを共有。週末を利用して長時間放置が必要な実験のセットを行う。

※本記事の内容は取材当時のものです。