生化学工業は、国内に2ヵ所の医薬品製造工場、米国にエンドトキシン測定用試薬の製造工場、カナダにCDMOに関する工場を有し、高品質な製品を安定的に製造しています。
医薬品・医療機器の製造は、各国の最新規制を遵守し、安定的かつ継続的に行う必要があります。生化学工業は、高品質な製品を患者の方々にお届けするために、三極(日本・米国・欧州)等における製造・品質管理基準を遵守し、製造工程の厳格化に努めています。また、製造管理や品質管理につきましては、コンピュータシステムを活用して、記録の完全性を高めるとともに、製造工程の定期的なチェック・改善活動を通じて、生産効率の向上にも取り組んでいます。今後も継続的な改善活動を行うとともに、グローバル基準に適合した高品質な製品の製造供給に注力していきます。
製品を安定的に供給することは、製薬企業にとって重要な使命のひとつです。当社は、原料の調達先を分散するとともに適正な在庫量を確保することで、大規模災害などのリスクに備えています。また、製剤化を担う高萩工場では、主力の製剤棟に地震発生時の揺れを軽減する免震構造を採用しています。このように当社では、万一の事態に際しても、安定的に製品を生産できる体制を整えています。
さらに、災害発生に伴う物流網遮断による製品供給リスクにも対応できるよう、一定量の製品在庫を確保するとともに、関東(茨城県高萩市高萩工場内)と関西(大阪府枚方市)の2ヵ所に製品倉庫を分散させています。
当社は、地球環境保全の重要性や製造活動を担う責任を強く認識し、環境関連法令等を遵守するとともに、環境負荷の少ない事業活動を自主的に推進しています。これまでの省エネルギー活動を継続するとともに、水資源の効率的な利用や廃棄物の削減・再資源化などの取り組みを強化することで環境対策と事業成長を両立させることを目指します。
省エネルギー活動の推進と二酸化炭素排出量削減を目的として省エネ推進委員会を設け、エネルギー使用状況を管理するとともに、各事業所において定めたエネルギー削減目標を達成するための改善施策や省エネルギーに関する教育訓練を実施しています。さらに、年度毎のエネルギー使用量及び二酸化炭素排出量の実績及び削減施策を同委員会が取りまとめ、経営会議に報告し審議を行うなど、全社レベルで実効性を高める体制を整えています。生産事業所で最もエネルギー使用量が多い高萩工場では、A重油ボイラーを高効率のLNGボイラーへ更新し、燃料転換を図ったことで熱効率を向上するとともに二酸化炭素排出量を削減しました。さらに、生産事業所と研究所施設における照明設備のLEDへの切替え、蒸気配管や蒸気トラップの修繕・強化等の取り組みによりエネルギー使用量の削減に繋げました。このような全社一丸となった省エネルギー活動を持続的に積み上げていくことで、2022年3月期までの過去5年間のエネルギー平均削減率は目標値を達成しています。
茨城県北部に位置する高萩工場は、当社の主力製品である関節機能改善剤をはじめとする医薬品・医療機器の製剤化を担っています。1975年の開設時には従業員28名でスタートしましたが、1987年のヒアルロン酸製剤発売以降、注射剤に特化した製剤工場として着実に規模を拡大しました。現在では約86,000平米の敷地内に5つの製剤棟を有し、約200名が勤務しています。
高萩工場は、ヒアルロン酸のプレフィルドシリンジ製剤※において世界有数の生産規模を誇り、国内・海外向けに年間2,500万本以上を生産しています。注射剤は厳重な無菌性の確保が求められますが、高萩工場では製造工程を無人化・自動化し、人による汚染リスクを最小化しているほか、薬剤の特性等に応じた最適な減菌方法に対応可能な設備を有しています。
※プレフィルドシリンジ製剤:あらかじめ薬液を注射器に充填したキット製品
主に医薬品原薬(原体)を製造する久里浜工場は、1947年に開設した歴史のある工場です。約100名が勤務し、高純度のヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸を製造しています。
久里浜工場の特徴は、抽出と発酵による原薬製造に特化していることです。創業当時から長年培ってきた、コンドロイチン硫酸の高度な抽出・精製技術が現在まで受け継がれており、ヒアルロン酸の原料となるニワトリの鶏冠やコンドロイチン硫酸の原料となるサメ軟骨から、高純度の原薬を効率的に製造するノウハウを有しています。
また、腰椎椎間板ヘルニア治療剤「ヘルニコア」の有効成分であるコンドリアーゼの製造工程の一部も担っています。現在、さらなる生産体制強化に向けて、新たなコンドリアーゼ原薬製造設備の稼働準備も進めています。
当社の100%子会社であるアソシエーツ オブ ケープ コッド インク(ACC社)は、エンドトキシン測定用試薬を世界で初めて開発し、FDAから認証を取得した会社です。1974年に設立され、1997年に当社子会社となり、現在はLAL事業の中心的な役割を担っています。ACC社には子会社2社(英国・ドイツ)があり、合わせて約250名が勤務しています。
マサチューセッツ州ファルマステックパーク内のACC社本社にある試薬及び診断薬の製造工業では、原料となるカブトガニの血球を抽出する工程から、エンドトキシン測定用試薬やグルカン測定体外診断用医薬品の製造までを一貫して行っています。また、近年は天然資源の適正使用推進の観点から、カブトガニの血液を使用しない遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬の製造・販売にも注力しています。
<カブトガニの保全活動>
ACC社では、「Horseshoe Crab Sustainability Project(カブトガニ持続可能性プロジェクト)」を推進しています。このプロジェクトでは、エンドトキシン測定用試薬の原料であるカブトガニを後世に渡り保全するための活動を実施しています。
■詳しくはこちら(英語ページ)
Horseshoe Crab Sustainability Project
2020年3月に当社の子会社となったダルトン ケミカル ラボラトリーズ インク(ダルトン社)は、製薬企業向けの化学合成品や医薬品の受託製造及び製造工程開発などのサービス(CDMO)を提供する企業です。1986年に設立され、カナダ オンタリオ州に米国及びカナダのGMP※1に準拠した医薬品等の製造拠点を有しています。現在は約150名が勤務しています。
ダルトン社の培ってきた化学合成技術や医薬品の製造工程開発に関するノウハウを当社の新薬開発に活用するとともに、当社が外部に委託していた生産・研究用の化合成否をダルトン社により内製化するほか、治験薬及び一部当社製品の製造移管も進めています。
※1 GMP:Good Manufacturing Practice
製造における製造管理、品質管理の基準