【 中期経営計画の概要 】

2023年3月期~2026年3月期

当社を取り巻く事業環境は、国内医薬品の薬価引き下げ、海外市場における制度変更、新薬開発の高度化や開発コストの増大、医療技術の革新など、医薬品業界の急速な変化により不透明な状況が継続していくと捉えています。また、社会の持続的発展と企業価値向上に向け、サステナビリティ推進をはじめとした社会的責任を果たすことの重要性が高まり、それらへの対応が急務となっています。
当社は、このような環境下において、2023年3月期からの4ヵ年を「成長を実現する期間」として定め、本中期経営計画を策定いたしました。前中期経営計画期間に強化した基盤のもと各重点施策を推し進めることで、持続的に成長軌道を描くための実力を養い、最終年度には過去最高の業績達成を目指します。

重点施策

当社が持続的に成長軌道を描くための実力を養うべく、次の5つの重点施策に取り組みます。

① 独自の創薬技術を活かした研究開発の加速

当社が保有するGAG※に関する基盤技術を応用展開することで、既存領域における新規開発テーマや新規疾患領域を含む革新的な研究テーマの創出に注力し、アンメットメディカルニーズを中心とした患者の方々が真に必要とする新薬の創製を目指します。また、これらの成功確度を高め、早期進捗を図るために各種アライアンスを推進します。同時に既存パイプラインを着実に進展させ、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の米国における承認取得及び上市、ドライアイ治療剤SI-614の米国第Ⅲ相臨床試験の終了、癒着防止材SI-449の国内承認取得及び米国での臨床試験開始を目指します。

※GAG:グリコサミノグリカン。複合糖質の構成成分のひとつ(ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸等)。

② 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の製品価値最大化

腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の米国における承認取得及び上市を実現するために、カナダに設立したセイカガク ノース アメリカ コーポレーションを最大限に活用し迅速かつ確実な承認申請、審査対応を行います。また、販売提携先との密な連携のもと販売準備を進め、医療現場への早期浸透による製品価値の最大化を図ります。

③ 関節機能改善剤の事業価値維持・向上

主力である国内関節機能改善剤市場において当社製品のプレゼンスを強化し、経営を支える基盤製品としての事業性の維持・向上に努めます。国内医薬品は薬価引き下げの影響を大きく受けることから、原価構造の改善が不可欠であり、安定供給継続のためにも製品資材の仕様変更や製造工程の効率化等をさらに進めてまいります。また、関節機能改善剤ジョイクルの安全性情報等の収集及び提供を継続するとともに、臨床研究の結果をもとに適切な処方への貢献を目指してまいります。

④ グローバル生産体制の構築

海外子会社ダルトン ケミカル ラボラトリーズ インク(カナダ、トロント)と当社高萩工場(日本、茨城県)の2拠点化を図ることで、適切かつ効率的な製造体制のもと安定供給のさらなる強化を図ります。

⑤ 遺伝子組換え技術によるLAL事業の拡大

海外子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクとの連携のもと、遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬パイロスマート ネクストジェンを活用し信頼できる科学的データの蓄積や遺伝子組換え技術を活かした新たな診断薬の開発促進に取り組むとともに、関連企業との協働による測定機器やソフトウェアの開発・改良などを行うことで、新たな価値の創造を目指します。

また、上記の5つの重点施策を実行するうえで、社員エンゲージメントの向上や組織強化・人材育成は経営の基盤となる重要な要素となります。事業の中核である人材の育成や、成長を促進する環境を醸成するための投資を積極化させ、持続的な成長を実現するための基盤強化・改善を図っていきます。

サステナビリティ

当社は、社会の持続的発展と企業価値向上に向けて、優先的に取り組むべき重要課題として6つのマテリアリティを特定しています。本中期経営計画の重点施策のベースとなるこれらのマテリアリティに引き続き注力し、医療関連事業の発展に加え、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを強化するとともに、サプライチェーンやステークホルダーの皆さまとの十分なコミュニケーションによる、社会的課題の解決を目指します。

マテリアリティ及びサステナビリティに関する取り組みの詳細につきましては、当社ウェブサイトをご覧ください。

数値目標

利益配分の基本方針

新中期経営計画に合わせ、以下のとおり新たな利益配分の基本方針を策定いたしました。

<利益配分の基本方針>
当社は、持続的な利益成長と企業価値の向上が、株主の皆さまとの共同の利益に資すると考えています。重要な経営課題のひとつである株主の皆さまへの利益還元につきましては、1株当たり年間26円を基本としつつ、業績動向及び財務状況等を勘案のうえ、増配を検討してまいります。なお、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式の取得を適宜検討いたします。
また、収益基盤の強化や資本効率の向上を図るために、新たな価値創出に向けた研究開発、生産体制整備及びサステナブル活動に対する効率的かつ積極的な事業投資のほか、将来の成長やシナジー効果が見込める戦略投資にも機動的に取り組んでまいります。

■関連資料