【 中期経営計画 】

前中期経営計画(2016年度~2018年度)の総括

当社は、生化学工業10年ビジョンの最終ステップとして2016年4月から始まる3ヵ年の中期経営計画を策定し、4つの重点戦略に取り組んでまいりました。

 

1つ目の重点戦略であった腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603(国内名称:ヘルニコア)の開発については、承認取得に時間を要しましたが、国内上市を2018年8月に達成しました。ヘルニコアは厳格な使用要件が定められていることから、適正使用の推進及び安全性確保に十分に留意し、段階的な普及に努めています。米国開発においては、2017年11月に第Ⅲ相臨床試験結果として主要評価項目が未達であったことを発表し、2018年2月より第Ⅲ相臨床試験の追加試験を開始しました。現在、追加試験の成功確度を高めるための各種施策に注力しています。

 

2つ目の変形性膝関節症市場における展開については、単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンの米国現地販売数量が着実に増加しましたが、市場環境が厳しさを増し、その伸び率は目標に対し未達となりました。なお、単回投与製品の価値最大化を目指して新規市場展開に取り組み、2019年3月に関節機能改善剤ハイリンクのイタリア上市を実現しました。一方、国内の関節機能改善剤アルツは、ユーザーニーズに対応した製品改良に積極的に取り組んだことで医療機関納入数量の維持を達成しましたが、薬価制度の抜本改革に伴う大幅な薬価引き下げを受け、売上は大きく減少しました。

次世代品として開発中の変形性関節症治療剤SI-613は、日本において第Ⅲ相臨床試験段階にあり、3つの試験を進めています。2019年2月にメインとなる膝関節を対象とした検証的試験で良好な結果を取得したことから、他の2つの試験の結果を考慮のうえ、2020年前半の承認申請を目指します。なお、2017年9月に小野薬品工業株式会社とSI-613の日本における共同開発及び販売提携に関する契約を締結しました。これにより、今後の開発や販売等の進捗に応じてマイルストーン型ロイヤリティーを受け取る予定です。

 

3つ目の開発パイプラインの充実につきましては、2018年5月に癒着防止材SI-449の日本における臨床試験を開始し、新たなテーマが開発パイプラインに加わりました。SI-449は、日本のみならず、グローバル展開を視野に入れて開発を進めています。また、臨床試験段階へのステージアップを目指す他のテーマも進捗しており、開発パイプライン拡充に向けた取り組みが進展しました。

 

4つ目の最適な生産・品質管理体制に向けた取り組みでは、既存製品を含めたグローバル基準の管理体制を強化するため、製造設備の改修や新たな品質管理システムの導入を実施しました。さらに、高萩工場・久里浜工場において専門コンサルタントを起用した業務改善を進め、生産効率の向上に取り組むとともに、各種コスト削減による原価低減施策を推進し、一定の成果を上げました。

 

前中期経営計画において掲げたキーコンセプト「10年ビジョンの達成と更なる飛躍」に対しては、国内ヘルニコアの上市、SI-613を含む新薬開発の進展、そしてLAL事業の成長という成果を上げた一方で、医薬品事業の収益性悪化の要因である国内薬価制度の抜本改革や海外市場の競合激化などの事業環境変化への対応が喫緊の課題となっています。

次期中期経営計画の骨子

製薬業界を取り巻く事業環境は、今後も更に厳しさを増すと考えられ、収益基盤の確保が急務となることから、当社はコア事業である医薬品事業において、SI-6603(ヘルニコア)及びSI-613といった、新たな経営の柱を早期かつ確実に開花させることに全力を注いでまいります。LAL事業においては、遺伝子組み換え技術を活かしたエンドトキシン測定用試薬の世界市場への展開を加速します。また、これまでのビジネスモデルに囚われず、収益モデルの多角化にも布石を打ってまいります。その土台として、予断を持たない各種コストの徹底的な低減や、財務基盤を活かした機動的な経営戦略を進めてまいります。
成長の源泉である研究開発においては、専門分野とする糖質科学を引き続き創薬の中心に位置づけ、パイプラインの充実を図ってまいります。更に糖質科学を活用したドラッグデリバリーシステム(DDS)技術をはじめとする基盤技術の拡充とともに、オープンイノベーション戦略を推進し、研究開発の効率を高めてまいります。

 

なお、次期中期経営計画及び目標数値の公表は、2019年11月を予定しております。これは、今後のヘルニコアの使用要件(医師要件及び施設要件)の見直しや、SI-613の開発動向によって、経営計画や目標数値が大きく変動する可能性を鑑み、その確度が高まった状況での公表が適切であると判断したためです。