粘り強い挑戦が新薬を生んだ

薬理研究

「3万分の1」に挑む

研究開発から承認に至り1つの薬が生み出される確率は、わずか3万分の1ともいわれます。創薬とは、多くの試験を経て、多くの失敗を重ねてようやくたどり着く世界。柔軟な姿勢と広い視野、そして不屈の行動力が研究者には求められます。

他部門と連携してより高い薬効を目指す

現在、GAG(グリコサミノグリカン)を使った新薬候補品の薬理試験に携わっています。
創薬部門の研究者とディスカッションを繰り返しながら、主に薬効や作用メカニズムを評価。期待以上の薬効が認められたときは、言葉では言い表せない達成感があります。
学生時代は生理活性ペプチドの合成研究に携わり、入社後は整形外科や眼科領域を中心に、様々な疾患に対して薬理試験を行ってきました。これらの経験は、他部門と円滑なコミュニケーションを図るための複眼的思考力や、効率的な仕事力につながっています。

10年超の開発期間を経て、新薬承認へ!

単回投与の関節機能改善剤「Gel-One」の開発に、入社4年目から携わりました。最初の3年間は、評価方法の確立、開発候補化合物の選択・最適化などに四苦八苦する毎日。その後は探索的な安全性試験、承認申請に向けた薬理試験、英文での承認申請資料の作成まで幅広く担当しました。より高い薬効を模索しながら失敗を繰り返し、何度も壁にぶつかって試行錯誤の連続でしたが、プロジェクトメンバー全員の「新製品を世に出すまで絶対にあきらめない!」という気概が、私の原動力になりました。
周囲のサポートに支えられながら、ようやく10年超の時を経て、米国食品医薬品局(FDA)からの承認取得を成し遂げたときは感慨もひとしおでした。
アメリカでの販売が決まり、商品パッケージを見たときは「自分が手掛けた製品が販売される!」という実感がひしひしとわきました。患者さんが待ち望む新しい医薬品や医療機器を一つでも多く上市し、世界の医療に貢献することが私たち研究者の最大のミッション。自身の経験を後輩たちに伝えていくと共に、現在取り組んでいる新薬候補品の承認に向けて、更なるチャレンジを続けていきます。

部内の週例チームミーティング。先週の実験報告と今週の予定を話し合う。

薬理実験およびレポート作成。複数の実験を並行して行う。同僚の実験をサポート。

引き続き薬理実験。明日の部内の報告会に向けて、データの統計解析や文献調査、資料作成を行う。

薬理研究室の月例報告会。実験データを元にディスカッションし、課題の抽出、問題解決を図る。

現在取り組んでいるテーマのプロジェクト会議。創薬部門や安全性部門とも情報交換し合い、今後の方針を決める。

※本記事の内容は取材当時のものです。